弁理士の富田です。
今日は、オープンソースのブログソフトウェアである『WordPress』に関する話題です。
神がかり的に便利なプラグインが無料で提供されており、ご存知の方も多いと思います。
このWordPressのプラグインについて、特許を取ることはできるのでしょうか。
まず、WordPressおよびそのプラグインは、いずれもソフトウェアですから、プログラムの技術分野に含まれます。
ですから、WordPressのプラグインに関するアイデアは、
ダウンロード形式で提供されるプログラムに関する発明として、特許を申請することができます。
ただし、そのプラグインについて特許権を取得するためには、いくつか留意すべき点があります。
まず、『WordPress』という文言は、登録商標(登録No.5049965)であって、ソフトウェアの一般名称や技術用語ではありません。
ですから、特許の権利範囲を特定する文言として『WordPress』を記載した場合には、
不明確であるとの指摘(拒絶理由)を受けるおそれがあります。
したがって、特許請求の範囲における『WordPress』の文言使用は避ける必要があります。
次に、WordPressのプラグインというのは確かに便利なのですが、
ソフトウェアやプログラムという広いカテゴリーのなかで見た場合に、
その機能は必ずしも常に斬新というわけではありません。(斬新なものもあります。)
しかし、プログラムの発明について特許を受けるためには、
すでに世の中に存在しているすべてのソフトウェアやプログラムと比較して斬新であることが求められます。
ですから、WordPressのプラグインについて特許を受けるためには、
単にWordPressのカテゴリーのなかで新しいというだけでは足りず、
プログラムとしての斬新さが求められることに留意する必要があります。
そして最後に、WordPressのプラグインは『ダウンロード形式で提供されるプログラム』の技術分野に含まれますから、
権利範囲を特定する『特許請求の範囲』の欄には、プログラムの発明を記載する必要があります。
この点については、以前に書いた記事『アプリについて特許申請する場合の注意点』が参考になると思います。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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