アップルのiPod nano。部分意匠制度を利用した画面デザイン保護の事例。
デバイス全体の形状や輪郭を特定しないで、画面デザインだけを意匠登録する。
弁理士の富田です。
今回は、意匠法による画面デザイン保護の事例として、
アップルのiPod nanoのホーム画面のデザインを紹介したいと思います。
スマホが広く普及してきたこともあって、
最近では街中や電車内でiPodを見かけることはほとんど無くなりましたが、
appleが販売しているiPod nanoとは、
下の写真に示すようなものです。
左側の画像が、アップルストアで販売されているipod nanoの画像で、(apple.comより引用)
右側の画像が、最近、日本の特許庁で意匠登録されたiPod nanoの画面デザインです。(特許庁より引用)
(iPod nanoの意匠権の全文PDFはコチラ。)
このiPod nanoの画面デザインの意匠登録は、『部分意匠』として登録されています。
つまり、実線で囲まれた画面部分が、意匠権として登録された画面デザイン部分であり、
その他の破線で描かれた輪郭やホームボタンなどの形状は、意匠権を構成しない参考部分となります。
意匠登録された方(右側)では、ナイキのロゴが削除されており、また背景色が変更されていますが、
これらの点を除けば、両者の画面デザインはまったく同一となっています。
なお、特許庁は、画面デザインについて意匠登録を認める要件として、
次の3つの要件を満たすことを求めています。
① 画面デザインが、物品の表示部に表示されるものであること。
② 画面デザインが、物品にあらかじめ記録されたものだること。
③ 画面デザインが、物品と一体的に創作されたものであること。
今回紹介したアップルのiPod nanoの画面デザインは、
① 本体の液晶画面に表示されるものであり、
② 販売当初から本体に内蔵のメモリに記録されており、
③ iPod nanoの外観デザインと一体的に創作されたものであるので、
上述した画面デザインを意匠登録するための3要件を見たし、今回無事に部分意匠として登録されました。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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