特許出願の『29条の2の拒絶理由』に対する応答で留意すべき事項

07.31


 

弁理士の富田です。

特許出願実務をやっていると、『29条の2の拒絶理由』を通知されることがあります。

『29条の2の拒絶理由』とは、簡単にいえば、
本願の出願時に未公開だった他人の先願発明と同一である、という内容の拒絶理由です。

今日はここでいう『同一』の解釈について述べます。

この『同一』とは、文字通り『同じ構成の発明』を意味するはずでありますから、
このような『29条の2の拒絶理由』を受けたときには、対応措置の一つとして、
相違点が出るように補正することを検討します。

しかしここで問題があります。

特許庁審査基準では、以下に抜粋するとおり、この『同一』を『実質同一』まで含むものと解釈しています。

<特許庁審査基準>
請求項に係る発明の発明特定事項と引用発明特定事項とに相違がある場合であっても、
それが課題解決のための具体化手段における微差
周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)である場合
(実質同一)
は同一とする。

ここでいう『実質同一』についての特許庁の実務感覚は、
進歩性違反(29条2項の拒絶理由)の場合の『想到容易』に近いものだと思われます。

つまり、特許庁の解釈では、29条の2の『同一』をかなり拡大解釈しており、先願発明と同一のものは勿論のこと、
そこから想到容易な発明(相違点があるため同一ではないけど類似の発明)についても『実質同一』とみなして
特許出願を拒絶しているように見受けられます。

したがって、『29条の2の拒絶理由』に対する措置として、特許請求の範囲の補正を選択する場合には、
単に相違点が出るように補正するだけでは足りず、
引用発明と比較して『新しい効果』が見いだされるような発明構成に補正し、
併せて、意見書によってその『新しい効果』について言及する必要があります。

また、その『新しい効果』が発明の内容から一義的に把握できない場合には、
実験成績証明書等を提出して、その効果を裏付ける必要があります。

なお、『29条の2の拒絶理由』の根拠となる引用文献(先行出願)は、常に、単一の文献であり、
進歩性違反(29条2項)の拒絶理由の場合のように、複数の文献の組み合わせに基づいて拒絶されることはありません。
その点では、進歩性違反(29条2項)の拒絶理由に比べて比較的対応が楽であるといえます。

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

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