特許権の侵害行為である『譲渡等の申出』とは

 

photo credit: Danny Nicholson via photopin cc

photo credit: Danny Nicholson via photopin cc

弁理士の富田です。

さて、特許権の侵害に該当する行為というのは、特許法にいくつか列挙されており、
その代表的なものとしては、模倣品の『製造』や『販売』などが挙げられます。
また、少し変わった侵害行為としては、『譲渡等の申出』といったものが特許法上に規定されています。
つまり、特許権者の許諾を得ることなく、第三者が摸倣品について『譲渡等の申出』を行うと、特許権を侵害することになるわけです。

では、この『譲渡等の申出』とは、具体的にどのような行為を指しているのでしょうか。

工業所有権法逐条解説(発明協会)では、この『譲渡等の申出』について次のとおりに解説しています。

 

この「申出」は、
発明に係る物を譲渡又は貸渡しのために展示する行為だけでなく、
カタログによる勧誘やパンフレットの配布などを含む行為である。

 

つまり、実際に販売(有償譲渡)した場合は当然に特許権侵害に該当するわけですが、
販売に至る前であっても、販売意思を持って営業や展示する行為を行った場合には、その時点で特許権侵害に該当することになります。

例えば、前回の記事では、ヤフオクを通じた売却行為と特許権侵害との関係について解説したわけですけれども、
このようなインターネットオークションの場合であれば、たとえ落札に至らなくても、オークションに出品した時点で特許権侵害が成立することになります。

販売しなければ特許権侵害にならないと誤解している方は、この点に十分に注意する必要があります。

なお、特許権侵害に該当する『譲渡等の申出』とは、上述したとおり、行為者が販売意思を持っていることが前提ですから、
例えば、販売目的が無く単に観客に見せるだけの単なる博覧会や、客寄せのための展示については、販売意思が無いため『譲渡等の申出』には該当せず、特許権侵害は成立しないと言えるでしょう。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

contact03

Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272     FAX: 03-3508-2095
※ 富田弁理士へのEMAILはコチラのメールフォームよりお願いいたします。

Firm Profile

【企業名】富田国際特許事務所

 

【代表者】弁理士 富田 款

 

【所在地】〒105-0001
東京都港区虎ノ門 1-16-9 双葉ビル5F

 

【連絡先】
TEL:03-6205-4272 FAX:03-3508-2095
※弁理士 富田に直通です。

Calendar

2013年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

Popular Articles

  1. 1

    他人の特許公報(明細書や図面など)をコピペする行為

  2. 2

    カシオの登録商標『G-SHOCK』、『A-SHOCK』から『Z-SHOCK』まで…

  3. 3

    映画『2001年宇宙の旅』に登場するタブレット端末

  4. 4

    自分の出願を『閲覧請求』したのは誰なのか

  5. 5

    著名人の名前を商標登録申請する危険性:大谷翔平ケースから学ぶ

関連記事