スマホ アプリについて特許申請する場合の注意点

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弁理士の富田です。

今日は、スマートフォンのアプリについて特許申請する場合の注意点について書きたいと思います。

iPhoneやiPadなどの携帯型端末で利用されるアプリ、つまりソフトウェアは、
AppStoreなどにおいてダウンロード形式でユーザに提供されます。

ここで注意が必要なのは、AppStoreなどを通じて事業者からユーザに提供される物は、
無体物であるプログラム(ソフトウェア)であって、
端末などの装置そのものではないことに注意する必要があります。

特許権の侵害というのは、原則として、
特許されたアイデアの権利内容のすべてを充足した場合(特許発明のすべての構成を満たした場合)に限って成立します。
したがって、アプリの権利化が目的であるにもかかわらず、携帯型端末などの装置発明として特許を申請すると、
特許権を取得できたとしても実効性に欠けた権利となる可能性があります。(無価値となるわけではないですが。)

例えば、iPhoneをナビゲーション装置として機能させる特定のアプリを開発したと仮定します。
この場合に、「携帯型ナビゲーション装置」に限定して特許権を取得すると、ナビゲーション用アプリを提供する事業者の行為は、特許権を直接的に侵害することにはならず(装置を製造販売しているわけではないので)、その者に対して特許権を行使することが難しくなります。

したがって、アプリについて特許申請する場合には、当該アプリが単独で提供(販売)される点に留意し、
携帯型端末の構成や、特定の情報処理方法に加えて、アプリに関する『プログラム』そのものについても権利範囲に含めるように注意する必要があります。

なお、特許庁は、つぎのとおり、アプリなどのプログラムについても特許権の権利範囲として記載できることを明言しています。

 

【特許庁審査基準:コンピュータ・ソフトウエア関連発明】

コンピュータが果たす複数の機能を特定する「プログラム」は、「物の発明」として請求項に記載 できる

例1:コンピュータに手順A、手順B、手順C、を実行させるためのプログラム
例2:コンピュータを手段A、手段B、手段C、として機能させるためのプログラム
例3:コンピュータに機能A、機能B、機能C、を実現させるためのプログラム

 

したがって、AppStoreなどでダウンロード形式で提供されるアプリについて特許出願する場合には、
特許出願する権利範囲にプログラムそのものを権利対象として含めるように注意する必要があります。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。(次回に続く…)
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
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【代表者】弁理士 富田 款

 

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