『クロワッサンたい焼き』の実用新案権、争いの予感…
弁理士の富田です。
『クロワッサンたい焼き』。
株式会社ホットランドが展開する『銀のあん』で販売されている
いわゆる”たい焼き”です。
この『クロワッサンたい焼き』、飛ぶように売れているので、
似たような焼き菓子を作りたいと思っている人が
日本全国に沢山いるようです。
しかし、このブログ(過去記事1、過去記事2)でも紹介したように、
この『クロワッサンたい焼き』は実用新案権が取得済です。(実用新案権 第3189666号 )
つまり、『クロワッサンたい焼き』というネーミングを使わなくても、
第三者が、同じような感じの焼き菓子を作った場合には、
ホットランドの実用新案権に抵触する可能性があるわけです。
ところが、最近、
この『クロワッサンたい焼き』の実用新案権の有効性を巡って、
新しい動きがありました。
上の画像は、『クロワッサンたい焼き』の実用新案権の経過情報を示しています。
この経過情報には、
「権利者または第三者」と「特許庁」との間での ”手続きのやりとり” の概要が記載されています。
まず、上の画像(経過情報)を見ると、
今年,平成26年の5月9日に、「刊行物等提出書」が提出されているのが分かります。
これは、誰かが、
「この実用新案権は、〇〇〇といった理由で登録されるべきものではないですよ」といった
証拠資料を提出したことを示しています。
おそらく、
ホットランド以外の第三者(『クロワッサンたい焼き』をマネしたい業者など)が
この「刊行物等提出書」を提出したものと考えられます。
次に、上記の刊行物等提出書に続いて、
今年,平成26年の5月20日に、「実用新案技術評価請求書」が提出されているのが分かります。
これは、おそらく、ホットランド側が提出したものを考えられます。
たぶん、「実用新案権は有効である」といった内容を評価書を特許庁から貰って、
法的手段を使ってパクリ行為を排除することを検討しているものと考えられます。
いずれにしても、
今後、特許庁は、提出された「実用新案技術評価請求書」を受けて
この実用新案権の有効性についてサーチを行い、
「実用新案技術評価書」を作成することになります。
自分の店でもコレ作ってみたい、と思っている方には、「実用新案技術評価書」の内容が気になるところですが、
特許庁が「実用新案技術評価書」を作成するまで、今しばらく時間がかかるようです…。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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