商標権侵害におけるインターネットショッピングモール運営者の責任
弁理士の富田です。
インターネットショッピングモールとは、
複数の者が出店する商店街のようなものですが、
こういったインターネット上の仮想商店街の代表的なものとしては
『楽天市場』が知られています。
今回は、商標権侵害が生じた場合における
このようなインターネットショッピングモールを運営する者の責任について書きたいと思います。
Chupa Chups 事件(平成22年(ネ)10076号)では、
『楽天市場』の出店者が商標権侵害に係る商品を販売していた事案につき、
『楽天市場』の運営者の責任について争われました。
この事件の控訴審において、
知財高裁は、次のとおりに判断しました。
ウェブページの運営者が、
単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を
整備するにとどまらず、・運営システムの提供、
・出店者からの出店申込みの許否、
・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等
の管理・支配を行い、
出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって、
その者が
出店者による商標権侵害があることを知ったとき 又は
知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは、
その後の合理的期間内に
侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り、
上記期間経過後から商標権者は
ウェブページの運営者に対し、
商標権侵害を理由に、
出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができる。
つまり、
商標権の権利者は、
インターネットショッピングモールの出店者(直接的な侵害行為者)に対して
権利行使できることは勿論のこと、
合理的期間内に侵害内容がウェブページから削除されない場合には、
インターネットショッピングモールの運営者に対しても、
権利行使できる可能性があるといえます。
本日もお読みいただいて有難うございました。
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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富田国際特許事務所
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